深掘り!旬野菜の話「菊芋」
あまり馴染みがない野菜かもしれません。かく言う私も、農家を始める前は野菜というよりは雑草と思っていました。
名前の通りキク科の野菜で、小型の菊のような黄色い花が咲きます。草丈は2m以上になり、草姿はヒマワリのようで(実際、ヒマワリ属です)太いしっかりした茎です。
とにかく繁殖力の強い植物で、「一度生えはじめると絶やすのが大変だ」とよく父が言っていたので、雑草と認識していたのだと思います。
また、元は飼料用の作物として日本に入ってきたようで、その名残りか「ブタイモ」などとも呼ばれていました。いかにもマズそうですね。
そんな感じで、当時は食べることもなかったのですが、実際食べてみると。。。
栽培について
前述通り、とても生命力の強い植物なので、出荷しなかった小さな芋を種芋にして、畑に埋め戻せばOK。植え付け前の牛ふん堆肥以外の肥料は入れず、水やりも天気任せ、出始めの時期に草取りをして日当たりをよくしてやればぐんぐん育っていきます。
花が咲くのは9~10月ごろ。その後、花が散り枯れてくる11月ぐらいからが収穫期になります。枯れると倒伏して折り重なり、掘りにくいので、まずは鎌で茎を根元から切って収穫作業に入ります。
収穫は出荷する分だけです。収穫後は色変わりが結構早く保存は不適。畑に埋まっている状態では悪くならないので3月ぐらいまで随時掘り続けます。
結構大変なのは収穫作業です。ジャガイモやサツマイモと違い、結構上下左右広範囲に芋が散在します。なので、茎の下を掘るというより、端から畑の畝を切り取っていくように収穫します。(我々は「角を付ける」と言っています)
味の特徴と食べ方について
最近は、菊芋に多く含まれる水溶性の食物繊維「イヌリン」が、血糖値を抑制する効果があり、健康食品として注目されるようになりました。
また、腹持ちが良く、カロリーも低めで(35kcal/100g、ジャガイモは76kcal/100g)ダイエット食として紹介されることもあります。
で、実際の味ですが、結構甘みがあります。野菜の甘みというよりは、シロップのような甘味料的な甘みを感じます。
食感は生だとシャリシャリした硬めの梨といった感じで、加熱するとホクホクした食感になります。
皮も食べることはできます。最もお勧めの「菊芋チップス」は皮ごとスライスしてサッと上げれば出来上がり。そのままで十分イケるつまみになります。パンチが欲しければ塩を一振り。
生だと皮が若干引っかかるような食感になるので、気になる方は包丁の背やスプーンを使えば割と簡単に剥けます。金たわしでもOK。
ただし、凹凸があるので全てをきれいに剥くのは難しく、少し皮が残るのは容認して使いましょう。細切りにして、人参+ツナと合わせれば、食感のよいサラダができます。
他に、キンピラもお勧めです。元々甘みがあるので砂糖は少なめでOK。
ポタージュにしても美味しいです。フランス料理ではわりと定番の一品のようで、まごやさいでご注文されるのはフレンチの飲食店が多いです。
保存について
洗っておくと、2日も経てば全体的に茶色く変色してきて、突起部分が黒く柔らかくなってきます。
よって、できれば土付きのまま保存するのが良いです。寒さには強い野菜なので、冷蔵庫に入れておけば長持ちします。また、突起部分が変色して柔らかくなっても、その部分を切り取れば十分使えます。
もし、家にプランターなどがあれば、土の中に埋め戻すのも一つの手です。4月ぐらいに芽吹くまでは、そのまま新鮮な状態で保存できます。
洗ってスライスして冷凍する方法もありますが、食感が変わってしまうのであまりお勧めできません。洗ったら早めに使うことをお勧めします。
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